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漫画・小説・演劇・ドラマ、ジャンルも媒体も男も女も関係なく、腐った可愛そうな頭の人間が雑多に書き散らすネタ帳です。 ていうかあれだ。サイトに載せる前の繋ぎみたいな。

   
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黄豚@③
「本当に、いいんだな?」
「アンタもしつこ、ん……」

 いい加減呆れたような声音を遮り、塞いだ口内を舐め尽くして脚を抱えると散々指で掻き回したそこに、何も着けないままの一物を宛った。
 芯子が息を詰める。

「息、抜けよ」
「かんたんに言うけど……な……ぁっ……!」

 狭く柔い内壁を掻き分けて、押し入った。何も着けていないダイレクトな感覚に、一郎は眉を寄せる。

「きっつ……いな……」
「ぃ……あ」

 なんとか根元まで押し込んだ。吐き出す息に熱が籠もる。ヤバい。気持ちいいなんてモンじゃない。

「……う、動いていい……?」
「い、ちいち、訊くな……」

 腰を引くと、肉が絡みついてくる。単調に打ち付けてからぐるりと中で回せば、芯子が秀麗な顔を快感に歪めた。
 耳、首筋、胸、脇腹、腰骨、臍下の茂みやその下の突起、至る場所に触れながら、注挿の速度を速めていく。

「ンっ、ん……っ、ん、ぅん、」
「声出してよ……」

 噤む唇が寂しくて、唇に指を入れる。抗議のために開かれたであろう歯の間にそれを噛ませれば、閉じられない口からはひっきりなしに喘ぐ声が漏れた。

「あっ、あ……や、あ……」
「かわいいなお前……」
「あっ、ぁ……あんひゃにぇ……」

 がり、強く指を噛まれて、思わず手を引く。何すんだ、とむくれてやったらこっちの台詞だと髪を引っ張られた。

「いたたたいてえよ!」
「うっさい」

 睨んで、口付けあって、もう何も言わずにただ穿つ。水音と肌のぶつかる音だけ、電気の消えた部屋に淫らに響く。
 ふいに耳鳴りのする感覚。クリトリスをグッと押し潰すと、芯子の表情が更に歪み、中も狭まった。

「あ、も、イく……ぅ!」
「一緒に……ッ」

 腰を支えて最後に強く打ちつける。

「しん、こ……!」
「っ、ぁあ、イ……」

 二人で高みへ登りつめたとき、芯子が、詰まった声でもって、噛み締めるように紡いだのは、他でもない、一郎の名前だった。

「い、ちろ……!」
「ッ……」

 放った白濁が、抜かれることなく全て芯子に注がれ、一郎は何度かゆっくりと腰を押し付ける。

 は、は、二人して荒い息を吐き出して、ベッドに沈み込んだ。

「あー……あー……」
「なーんだ、その声」
「すげ、良かった……お前は?」
「……ま、そこそこ、な」
「そこそこってなんだ、そこそこって……まあいいわ……」

 一物を引き抜いて、芯子を抱き寄せる。物凄く瞼が重い。いつの間にか足元で蟠っていた毛布達も引き寄せて、二人でくるまる。傍らの芯子が後始末をしろと五月蝿く喚くが、起きてからにしてくれ、と瞼を閉じた。

※※※

 目が覚めた。随分と、都合のいい夢を見た。目は開いたけれどあまりに身体が気だるく起き上がる気にはなれずに、何時だろう、そう思って時計に手を伸ばす。

「起きたか?」

 後ろから、するはずのない声がして、驚きで時計を取り落とす。
 声の主は、堤芯子だった。

「なーに、そのカオ。風呂沸いてるから入ってきな、ひっどいカッコしてるよー?」

 芯子はそう言うと、リビングへ消える。
 訳も分からず下を見れば、夢と同じように下穿きだけ穿いている。

「ゆ、めじゃなかったのか……」

 ヨロヨロと部屋を出ると、味噌汁のいい匂いがした。

「アンタさー、時計あんだけ煩いのに、なんで起きないかね~?」

 一郎の服を身につけた芯子が、お玉を握っている。
 これも夢だろうか。それとも。

「お前……か、身体、平気か……?」
「はぁ?」
「いや、……だから」
「起きたら身体中ベトベトだし、へんなトコ筋肉痛だし。立ったらなんか出てくるし誰かさんはぐーすか寝てるし? ……ま、いーけど」

 くるりと一郎に向き直った芯子が、お玉を肩に担いで片手で一郎の胸あたりを強く押すと風呂場へ追いやった。

「とりあえず、風、呂、入、れ」

 どうやら、朝食にありつくには身を清めなければならないらしい。
 風呂場の扉を開ければ一面鏡がある。姿見にうつる自分の格好は、確かに酷いものであった。
 ってこれ、マジでか。

 色々なものを流してさっぱりとしてリビングへ向かう。
 風呂場で悶々考えた末に出た一つの答えは、どうやら、自分が夢だと思っていたことは全て現実だったらしいということ。

「……夢じゃなかった……」

 リビングへ入ると、食卓にならぶ小鉢たち。食材がないとぶつぶついう芯子は、それでも何品目かを作っていた。料理などてんでできないように見えるのに、実際のその腕は確かだ。

「モノが少なかったからこんだけしか作ってない、よ。ホイ、食いな」
「いや、ありがとう……」

 あれが現実だったとして、後始末もせずに寝転けていたとかもう最悪だ、と溜め息を吐く。口に運んだ煮物が旨くて、情けなくなった。

「旨い……久しぶりだな、お前の料理」
「味わえ、よ」

 まるで、夫婦のそれのように穏やかな時間。けれど実際には、恋人ですらない。
 そう、恋人ですら。

 一郎は、箸を置いた。

「どーしたシングルパー」
「……堤芯子」
「なーになーにどーした」
「俺は、お前のことが、好きだ」
「……そーれで?」

 一息、吸い込む。

「芯子さん、俺と付き合って下さい」

 身体中が心臓になったように、鼓動が五月蝿い。頬杖をついて告白を聞いていた芯子は、んー、と唸ると椅子の背もたれにもたれ掛かった。

「……アンタがなんでそんなにアタシのことが好きなのかワカンナイけど……なーんか一郎さんは私が居ないと駄目みたいだしー?」

 机を挟んで、身を乗り出した芯子から手が伸びる。それがわしゃわしゃと一郎の髪をかき混ぜた。

「しょーがねーから、付き合ってやる、よっ」
「……マジ?」

 一郎が瞠目する。その様子に、芯子が息を吐いた。

「……んなことで嘘吐いてどーすんだ」
「前科があるだろお前は……」
「……あー……っと……しっかし昨日はまーさか、寝込み襲われるとは思わなかったなー……しかも、車ん中で、仕事ちゅーに?」
「!」
「ホントどんだけヨッキューフマンなんだっちゅーの」

 芯子が一郎の家に来たわけ、一郎の記憶が正しければ、あの車内でのキスの理由が知りたかったからだったはずで、詰まり……。

「おま、起きてたのか……!」
「ったり前だろー? あんな頼りない運転じゃ寝たくても寝らんなーい」
「嘘こけ、高鼾かいてたじゃねーか!」
「つーか例えあの前に寝てたとして、アタシくしゃみしたんだよ? あのタイミングで普通『起きてない』って判断しないだろ、っとに頭ん中までパーだな!」

 確かに、言われて見ればそうなのだが、一郎としては納得いかない。

「嫌なら目ぇ開ければ良かったじゃねえか……」

 少し拗ねたようにそう言って、箸を再び取った。ジャガイモの煮物をつつく。

「……だから、開けなかったじゃん」

 照れを隠すように、ふてた声音で吐き出す芯子。その言葉の意味を正しく理解して、一郎はジャガイモを取り落とした。

「……す、なおじゃねーなー……」
「……お互いサマだ、ろ」

 掛け合う言葉に温かさが滲む。
 二人の想いの繋がった、二十九日の、昼間のことであった。
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