漫画・小説・演劇・ドラマ、ジャンルも媒体も男も女も関係なく、腐った可愛そうな頭の人間が雑多に書き散らすネタ帳です。 ていうかあれだ。サイトに載せる前の繋ぎみたいな。
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黄豚@犯行は数分の間に。
犯行は数分の間に。
角松の実家のある清杉村を出て帰路につく会計検査庁の面々は、疲労しきった様子で新幹線のシートを向かい合わせたボックス席に沈んでいた。後から来てすぐに蜻蛉返りになる明珍だけはそんなメンバーを見て、場を盛り上げようと頑張る。
「温泉! 気持ち良かったねえ!」
会計検査庁としての仕事を終え、取れなかった昼休みを取ろうと五人が向かったのは飯屋ではなく何故か、角松の実家近くの公営の温泉だった。それぞれに色々流したいものがあったのかも知れない。飯は電車で食えるよな、と言った誰も、腹に溜まるものは買わずに、ただ黙々と乗り込んだこの新幹線だった。最も、ここでも明珍は軽く握り飯を購入していたが。
そんなわけで、目下五人に共通する話題といえば、温泉なのだ。
明珍の言葉に、男三人も、苦笑いで頷く。確かに、温泉はもやもやと重たかった空気の何割かを洗い流してくれた、と。
そんな男性陣を横目で見た芯子は、窓側の席でもって窓が白く濁る程に息を吐き出した。
てゆーか、さ。
「芯子さん?」
「確かにアンタ等は三人で温泉入って楽しかったカモしんないけど、アタシは一人なんだよねえ」
気持ちは良かったけど、つまんなかったぁー。
「当たり前だろう、温泉なんだから」
呆れたようにそう返したのは、角松一郎だった。
何を言っているんだ、と鼻で笑う角松に、芯子はその頭を指して、シングルパー、頭三割り増しで巻いてんぞ、とこちらも負けずに鼻で笑ってやる。
一生懸命乾かして解かした髪の毛を巻いていると言われて、角松は両手でパーマを触る。三割り増し……!? しっかり伸ばしたのに……!
「……ねえ、そーめんか、ぼ、ちゃ」
「だからそうめんかぼちゃって、」
「あーもうじゃあ、か、ね、だ、くん」
「……なんだ」
巻いてないよ角松くん、いや巻いてるけどいつも通りだよ、と宥められている元婚約者を視界からアウトさせて、芯子は隣に座る金田と正面の工藤をからかいにかかる。
「混浴だったら良かったのに、な?」
「な!」
「何を……」
「……え? 堤くん?」
「何言ってんですか芯子さん……!」
三者三様の反応に、芯子はニッコリと口角を引き上げる。
「ジョーダンだよジョーダン。何マジになってんの」
「冗談でも言うな!」
顔を紅潮させて叫ぶ角松に、芯子が、迷惑なやつだ、と眉間に皺を寄せた。幸いにも人は殆ど乗っていなかったが、それでも疎らに視線が集まる。
「アンタも何真っ赤になってんだか。あ、もしかして、想像したな?」
「何をだ!」
「アタシのハダカ」
笑顔のままで言ってやれば、角松は一瞬詰まったように何か言い返そうとする。しかし、すんでのところでそれを飲み込み、そして息を長く吐き出す。
「……だーれーが、お前の貧相な裸なんか」
「……ほー? 貧、相、な?」
言われた言葉に、芯子の目がすうっと据わった。
「お、おお、俺はな、もっとこう、豊満なバストにきゅっとくび……何を言わすんだ、何を……!」
「勝手に言ったんじゃん」
べえ、と舌を出した芯子に角松は、言い返す言葉も見当たらず、苛立ちを抑えようとその場で落ち着きなく足を組み替えたり手を組み替えたりしてから諦めたように、席を立った。
「主任?」
「ちょっとトイレ行ってくるわ……」
片手で頭を掻きながら、そう言ってトイレのある車両へと歩き出した。
「……便所ってさあ、だーれか一人行くと行きたくなんの、アレ、なんでだろうな?」
ちょっとどいて、アタシもお花摘んでくる。
男三人の足を除けるようにして、芯子も角松の後に続いた。
「あ、ちょっと、……あの二人ってなんであんなに相性悪いんだろうね?」
「悪いわけではないと思いますよ、俺は。ただ、似た者過ぎるんですよきっと……まあ、俺には関係ありませんが」
***
(ったくなんなんだあの女は……!)
向かっ腹を抱えた角松は、トイレのドアを乱暴に開ける。
中に入り、背後で勝手に閉まるドアに鍵をかけようとしたその時、ガン、と、そこに足を挟んだのは、角松の後に続いてトイレに向かったはずの芯子だった。勿論、こちらは男性用トイレである。
角松が、うわ、と声を上げる。
「おい、こっちは男せ、」
「満足、……してなかったんだあ?」
男性用だと言おうとした角松の言葉を遮り細身をスルリと中へ入れた芯子は、唇を尖らせると決して綺麗とは言えない狭いトイレの中で角松の体にぴたりと自分の身を寄せた。持ち前の手癖の悪さを発揮して、ちゃっかり鍵まで閉めている。角松は芯子の突然の暴挙に、先ほどの苛立ちも忘れてホールドアップの姿勢でじりじり壁に後退りするが、如何せん広さがない。壁に背が着いても芯子はにじり寄ってくる。
「おま、やめ、ま、満足って、なんのことだ、」
「貧相なカラダって、思ってたんだあ?」
そう言いながら寄せられる体は当然女らしく柔らかい、しなやかな、角松の知っている体。
「……っ」
「キ、ズ、ツ、イ、タ、な。……でーもぉ」
芯子が背伸びをすれば、二人の身長差が少し埋まる。その位置で、太ももを意味ありげに押し付ければ角松が小さく呻いた。
ま、確かに全裸で自慢出来るよーなカラダじゃないカモだけど、と前置きをして、角松の丁度胸板あたりに寄せた自分の胸を覆う服を、下着が見える程度まで手でもってグイッと下げてやる。
「こんな貧相なカラダにむしゃぶりついて離れなかったのは、どこのだあれ?」
「む……!?」
「ン、やめて、ァ、も、むり、って散々言っても止めてくれなかったのはぁ、だーれ?」
喘ぎ声を再現するように、吐息を混ぜて角松の耳元にあたたかく掛けると、唾液を飲む音が芯子の耳を打つ。
芯子は、自分の胸から離した手を太ももで刺激していた角松の股間にもって来ると、いつぞや、金玉を握った時よりも優しくスーツの上から揉み込むように全体を撫でた。
「! 何、してんだ……!」
引きつった声を上げる角松に、挑戦的な目を向ける。
「別にぃ。……角松さんはぁ、こんな貧相なカラダじゃぁー、勃ちもしないんでしょう?」
声音を変えて、既に勃ちかけている角松の股間の竿の先をぐりぐりと片手で嬲り、同時に体を更に密着させるように押し付ける。
「……!」
とうとう思わず前かがみになった角松から、芯子はようやく体を離した。
「じゃ、ごゆっくり?」
気が済んだのか鍵を開けてさっさとトイレから出て行く芯子とは対照的に、角松は腰に力が入らない。なんせこの角松一郎、結婚詐欺にあってから女がちょっと信頼出来なくなってしまい、結局『洋子』との経験が最後になっているのだ。
久しぶりに感じた『女』の刺激はそんな俺の体を高ぶらせ……って、そうじゃなくて……!
「……ッ……ちょっと待てコラァアー……!」
なんだかもう色々頭を巡りながら、閉まるドアに叫ぶとそのドアの隙間から芯子が、あ、そうだ、と呟く。
「こんな貧相なカラダで良ければ、オカズにしても、か、ま、わ、な、い、から、ネ?」
じゃあまた後で、を残して、角松が何も言えないうちに、ドアは音も立てずに閉まったのだった。
***
「あ、芯子さんおかえりなさい」
「んー」
用を足した芯子は、座席に戻るとシートに深く沈み込んだ。
斜向かいでは明珍が腕時計をちらりと見、次いでトイレのある車両への通路を見る。
「随分時間経ってるけど、角松くんはまだ帰ってこないねえ」
「出すモン出すのに手間どってるんじゃナイ? なんか、気張ってたみたいだし」
アタシ疲れたから寝る。着いたら起こして。
欠伸をした芯子は、そのまま目を閉じた。
その後、文字通り出すモノを出して帰ってきた角松の精神的苦痛は、想像に難くないだろう。
角松の実家のある清杉村を出て帰路につく会計検査庁の面々は、疲労しきった様子で新幹線のシートを向かい合わせたボックス席に沈んでいた。後から来てすぐに蜻蛉返りになる明珍だけはそんなメンバーを見て、場を盛り上げようと頑張る。
「温泉! 気持ち良かったねえ!」
会計検査庁としての仕事を終え、取れなかった昼休みを取ろうと五人が向かったのは飯屋ではなく何故か、角松の実家近くの公営の温泉だった。それぞれに色々流したいものがあったのかも知れない。飯は電車で食えるよな、と言った誰も、腹に溜まるものは買わずに、ただ黙々と乗り込んだこの新幹線だった。最も、ここでも明珍は軽く握り飯を購入していたが。
そんなわけで、目下五人に共通する話題といえば、温泉なのだ。
明珍の言葉に、男三人も、苦笑いで頷く。確かに、温泉はもやもやと重たかった空気の何割かを洗い流してくれた、と。
そんな男性陣を横目で見た芯子は、窓側の席でもって窓が白く濁る程に息を吐き出した。
てゆーか、さ。
「芯子さん?」
「確かにアンタ等は三人で温泉入って楽しかったカモしんないけど、アタシは一人なんだよねえ」
気持ちは良かったけど、つまんなかったぁー。
「当たり前だろう、温泉なんだから」
呆れたようにそう返したのは、角松一郎だった。
何を言っているんだ、と鼻で笑う角松に、芯子はその頭を指して、シングルパー、頭三割り増しで巻いてんぞ、とこちらも負けずに鼻で笑ってやる。
一生懸命乾かして解かした髪の毛を巻いていると言われて、角松は両手でパーマを触る。三割り増し……!? しっかり伸ばしたのに……!
「……ねえ、そーめんか、ぼ、ちゃ」
「だからそうめんかぼちゃって、」
「あーもうじゃあ、か、ね、だ、くん」
「……なんだ」
巻いてないよ角松くん、いや巻いてるけどいつも通りだよ、と宥められている元婚約者を視界からアウトさせて、芯子は隣に座る金田と正面の工藤をからかいにかかる。
「混浴だったら良かったのに、な?」
「な!」
「何を……」
「……え? 堤くん?」
「何言ってんですか芯子さん……!」
三者三様の反応に、芯子はニッコリと口角を引き上げる。
「ジョーダンだよジョーダン。何マジになってんの」
「冗談でも言うな!」
顔を紅潮させて叫ぶ角松に、芯子が、迷惑なやつだ、と眉間に皺を寄せた。幸いにも人は殆ど乗っていなかったが、それでも疎らに視線が集まる。
「アンタも何真っ赤になってんだか。あ、もしかして、想像したな?」
「何をだ!」
「アタシのハダカ」
笑顔のままで言ってやれば、角松は一瞬詰まったように何か言い返そうとする。しかし、すんでのところでそれを飲み込み、そして息を長く吐き出す。
「……だーれーが、お前の貧相な裸なんか」
「……ほー? 貧、相、な?」
言われた言葉に、芯子の目がすうっと据わった。
「お、おお、俺はな、もっとこう、豊満なバストにきゅっとくび……何を言わすんだ、何を……!」
「勝手に言ったんじゃん」
べえ、と舌を出した芯子に角松は、言い返す言葉も見当たらず、苛立ちを抑えようとその場で落ち着きなく足を組み替えたり手を組み替えたりしてから諦めたように、席を立った。
「主任?」
「ちょっとトイレ行ってくるわ……」
片手で頭を掻きながら、そう言ってトイレのある車両へと歩き出した。
「……便所ってさあ、だーれか一人行くと行きたくなんの、アレ、なんでだろうな?」
ちょっとどいて、アタシもお花摘んでくる。
男三人の足を除けるようにして、芯子も角松の後に続いた。
「あ、ちょっと、……あの二人ってなんであんなに相性悪いんだろうね?」
「悪いわけではないと思いますよ、俺は。ただ、似た者過ぎるんですよきっと……まあ、俺には関係ありませんが」
***
(ったくなんなんだあの女は……!)
向かっ腹を抱えた角松は、トイレのドアを乱暴に開ける。
中に入り、背後で勝手に閉まるドアに鍵をかけようとしたその時、ガン、と、そこに足を挟んだのは、角松の後に続いてトイレに向かったはずの芯子だった。勿論、こちらは男性用トイレである。
角松が、うわ、と声を上げる。
「おい、こっちは男せ、」
「満足、……してなかったんだあ?」
男性用だと言おうとした角松の言葉を遮り細身をスルリと中へ入れた芯子は、唇を尖らせると決して綺麗とは言えない狭いトイレの中で角松の体にぴたりと自分の身を寄せた。持ち前の手癖の悪さを発揮して、ちゃっかり鍵まで閉めている。角松は芯子の突然の暴挙に、先ほどの苛立ちも忘れてホールドアップの姿勢でじりじり壁に後退りするが、如何せん広さがない。壁に背が着いても芯子はにじり寄ってくる。
「おま、やめ、ま、満足って、なんのことだ、」
「貧相なカラダって、思ってたんだあ?」
そう言いながら寄せられる体は当然女らしく柔らかい、しなやかな、角松の知っている体。
「……っ」
「キ、ズ、ツ、イ、タ、な。……でーもぉ」
芯子が背伸びをすれば、二人の身長差が少し埋まる。その位置で、太ももを意味ありげに押し付ければ角松が小さく呻いた。
ま、確かに全裸で自慢出来るよーなカラダじゃないカモだけど、と前置きをして、角松の丁度胸板あたりに寄せた自分の胸を覆う服を、下着が見える程度まで手でもってグイッと下げてやる。
「こんな貧相なカラダにむしゃぶりついて離れなかったのは、どこのだあれ?」
「む……!?」
「ン、やめて、ァ、も、むり、って散々言っても止めてくれなかったのはぁ、だーれ?」
喘ぎ声を再現するように、吐息を混ぜて角松の耳元にあたたかく掛けると、唾液を飲む音が芯子の耳を打つ。
芯子は、自分の胸から離した手を太ももで刺激していた角松の股間にもって来ると、いつぞや、金玉を握った時よりも優しくスーツの上から揉み込むように全体を撫でた。
「! 何、してんだ……!」
引きつった声を上げる角松に、挑戦的な目を向ける。
「別にぃ。……角松さんはぁ、こんな貧相なカラダじゃぁー、勃ちもしないんでしょう?」
声音を変えて、既に勃ちかけている角松の股間の竿の先をぐりぐりと片手で嬲り、同時に体を更に密着させるように押し付ける。
「……!」
とうとう思わず前かがみになった角松から、芯子はようやく体を離した。
「じゃ、ごゆっくり?」
気が済んだのか鍵を開けてさっさとトイレから出て行く芯子とは対照的に、角松は腰に力が入らない。なんせこの角松一郎、結婚詐欺にあってから女がちょっと信頼出来なくなってしまい、結局『洋子』との経験が最後になっているのだ。
久しぶりに感じた『女』の刺激はそんな俺の体を高ぶらせ……って、そうじゃなくて……!
「……ッ……ちょっと待てコラァアー……!」
なんだかもう色々頭を巡りながら、閉まるドアに叫ぶとそのドアの隙間から芯子が、あ、そうだ、と呟く。
「こんな貧相なカラダで良ければ、オカズにしても、か、ま、わ、な、い、から、ネ?」
じゃあまた後で、を残して、角松が何も言えないうちに、ドアは音も立てずに閉まったのだった。
***
「あ、芯子さんおかえりなさい」
「んー」
用を足した芯子は、座席に戻るとシートに深く沈み込んだ。
斜向かいでは明珍が腕時計をちらりと見、次いでトイレのある車両への通路を見る。
「随分時間経ってるけど、角松くんはまだ帰ってこないねえ」
「出すモン出すのに手間どってるんじゃナイ? なんか、気張ってたみたいだし」
アタシ疲れたから寝る。着いたら起こして。
欠伸をした芯子は、そのまま目を閉じた。
その後、文字通り出すモノを出して帰ってきた角松の精神的苦痛は、想像に難くないだろう。
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